美術史を読みかえす #2:前衛の左翼性とマレーヴィッチ

前衛が政治的に左翼であることと結びついていた。それはどういうことなのか?ぼんやりと考えていた。この時代の人たちにとって社会主義思想がどういう意味を持ち、どう評価されてたのか。資本主義への反動、労働者である民衆に力を与えること。技術革新の成果を権力者や資本家にではなく社会全体に、階級関係なく浸透させること。権力の配置を変更する。王や貴族やブルジョワの欲望を満たす美ではなく民衆の欲望を満たす美への移行。ロシアでは1917年のロシア革命前まで君主制だったことも背景としては重要で、マレーヴィッチは1915年に黒い正方形を打ち出した。それは技術革新と工業化社会のシンボルと解釈できる。レッドスクエアは農婦、すなわち労働者の肖像画でもある。マレーヴィッチは政治的メッセージより純粋な形態と感情に重点をおくが、それでも、黒と赤はよく使用される。黒と青、黒と黄色、ではない。レッドスクエアは社会主義•共産主義を主張する面もあると解釈できる。それまでの日常の世界や見慣れた世界を断ち切り、新しいビジョンを宣言している。この時代の左翼の意味は2020年代とは全く違っているとは思う。