ある仏弟子の告白 — 城の前で

わたしは街にいるが、わたしの心は砂漠へ飛び立ってしまった。ある仏弟子が告白した。

その仏弟子がいる街は多くの人で溢れていた。その街は商人たちが集まり、たくさんの職人たちを働かせ、1ヶ月で形づくられた新しい都市だった。商人たちは誰もが羨むような珍しくキラキラした品々を半透明の白っぽい石で造られた大きな城の中に並べていた。それを見て手に入れようと隣の村からわざわざ気が遠くなるほどの時間をかけてやってくる人々もいた。その半透明の白っぽい鉱物で造られた城は近づいてみると太陽の光を浴びて小さな金色の粒が光っているようで、よくみるとそれもまた珍しい石でできており、人々はそれには気づかないが、その大きな城の中に次々と入っていくのだった。

仏弟子はその城の入り口の手前に敷かれた石畳の道沿いに細い枝と土で汚れて茶色っぽく黄ばんだ布で組まれた小さな家があるのに気づいた。仏弟子は細い枝と布の間から暗い陰影の中でじっとしている人影をみた。じっとしているその人影をみる人はいなかった。道沿いに目をやるとそのような小屋は遠くの方にもいくつかあるようだったがよく見えない。

「わたしの居るこの小さな宿には、塵もなく、光もなく、音もなく、美しいものに対する愛もない」

仏弟子が再び城に目を移し人々の流れを見ていると小屋の陰影の中から声が聞こえた。仏弟子もまたその言葉を繰り返した。

「ここには塵もなく、光もなく、音もなく、美しいものに対する愛もない。わたしは街にいるが、わたしの心は砂漠へ飛び立った。」